Huit Arbre

 建物は3階建て住宅とワンルーム賃貸x2戸がくっついた「賃貸併用住宅」です。タイル張りの通路を植栽を眺めながら進むと、道路から少し奥まったところに建物があります。この通路は長屋形式で必要な「敷地内通路」であり、この建物の南側の庭でもあり、建て込んだ周囲の街並みに囲まれながらも、1階に十分な採光を確保するためのオープンスペースとして機能しています。木造3階建て特有の厳しい防火性能上の制約の中で、できるだけ木をいかして居心地のよい住宅にするための工夫を凝らしています。無垢フローリングはナラ、天井にはレッドシダーの羽目板、階段、手摺、キッチンセット、造り付け収納なども木を使い、暖かみのあるインテリアでまとめています。吹き抜け、視線の抜け、ストリップ階段、家具による間仕切り、窓や外の景色の取り入れ方などを工夫して、決して広くはない空間をゆったり感じさせるための設計をしています。全体がゆるやかにつながった空間はどこにいても家族の気配や家全体を感じ取ることができます。また、建物を長く使うために、次世代省エネ基準、耐震等級3、劣化対策や維持管理のしやすさも配慮した仕様としています。ワンルーム賃貸部分では、「少しだけ広くてフレキシブルな賃貸」をコンセプトに設計しています。可動家具による間仕切り方でいろいろな部屋の使い方を提案しました。入居者には駅から近いので若い単身者や、SOHO利用者などを想定しています。ニュートラルな白い壁天井、硬くて傷の付きにくい竹の無垢フローリングの内装はどんなインテリア、使い方でも馴染みます。水廻り、キッチンなど設備はデザイン性、機能性の両面に配慮しました。また、日当たりの面で不利な1階の部屋には木製デッキが付き、差別化ができる特徴を持たせています。

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